これまでお菓子といえばお店で買ってくるものが多かったのですが、家にいる時間が増えたことで、ふと自分で何かを作ってみたいという創作意欲が湧いてきています。
料理は毎日のようにしてきましたがお菓子作りは数えるくらいです。今回は初めてスコーン作りに挑戦してみた体験をお話しします。
お菓子作りに興味を持ったちょっとしたきっかけ
ある日、インターネットで動画を見ていると、とても簡単な材料だけでスコーンを焼き上げているレシピ動画が目に留まりました。
そこには特別な道具も使わず、ボウルひとつで生地を混ぜ合わせ、オーブンでふっくらと焼き上げる様子が映し出されていて、「これなら私にもできるかもしれない」と直感的に思ったのです。
子供が小さい頃は仕事から帰ってきて夕飯を作るだけで精一杯で、手間のかかるお菓子作りを楽しむ余裕があまりありませんでした。
しかし今の私には、失敗したとしてもそれを笑って楽しめるだけの豊かな時間があります。
スコーンはイギリスの伝統的な焼き菓子でありながら、家庭で素朴に作れる親しみやすさも魅力的です。
思い立ったが吉日ということで、さっそく近所のスーパーへ足を運び、薄力粉や無塩バター、ベーキングパウダーなどの基本的な材料を買いそろえてきました。
エプロンをきゅっと結び直してキッチンに立つと、これから始まる新しい挑戦への期待で胸が高鳴りました。
初めてのスコーン作りとキッチンに漂う甘い香り
いざ作り始めてみると、お菓子作りがいかに繊細で面白い作業であるかに気がつきました。
料理の時は目分量で調味料を入れることも多いですが、お菓子作りは1グラム単位で正確に粉を計ることが成功の秘訣だとレシピに書いてありました。
指示通りに薄力粉を丁寧にふるいにかけ、冷やしておいたバターを細かく刻んで指先で擦り合わせるように混ぜていきます。
この「バターと粉をポロポロのそぼろ状にする」という工程が想像以上に楽しく、無心になって手を動かしていると、なんだか日頃の雑念まで一緒に消えていくような不思議な感覚を覚えました。
牛乳を少しずつ加えて生地をひとまとめにし、麺棒で伸ばして型抜きをしていきます。
専用の丸い抜き型は持っていなかったので、食器棚にあった小ぶりのグラスで代用しましたが、それもまた手作りならではのご愛嬌です。
天板に並べてオーブンに入れると、しばらくしてキッチン全体にバターと小麦粉が焼ける何とも言えない甘く香ばしい香りが漂い始めました。
オーブンのガラス窓から中を覗き込むと、平べったかった生地が熱の力でだんだんと膨らみ、真ん中にスコーン特有の腹割れと呼ばれる綺麗な割れ目が入っていく様子が見え、まるで理科の実験を見ているような感動がありました。
手作りのお菓子で過ごす贅沢なティータイム
焼き上がったばかりの熱々のスコーンを網の上に取り出すと、表面はサクッと、中はふんわりとした完璧な仕上がり。
冷めないうちに自分でお茶を淹れ、お気に入りのティーカップと一緒にお皿に盛り付けると、いつものダイニングテーブルがまるで素敵なおうちカフェのように見えてきます。
一口かじると、バターの豊かな風味が口いっぱいに広がり、市販のものにはない素朴で優しい甘さが身体の隅々にまで染み渡りました。
一緒に食べてくれた夫も、「これは美味しい、お店で売っているみたいだ」と目を細めて喜んでくれて、その笑顔を見た瞬間、作ってよかったと心から思えました。
ジャムやクロテッドクリームを添えて味の変化を楽しむのも格別です。
初めてのスコーン作りが大成功に終わったことで、私の心に新しい趣味の扉が開いたような気がしています。
今回のプレーンなスコーンだけでなく、次回は生地にアールグレイの茶葉を練り込んでみたり、レーズンや砕いたチョコレートを入れてみたりと、自分好みのアレンジを試してみるのが今から楽しみで仕方がありません。
手作りのお菓子は、食べる人だけでなく作る人の心も満たしてくれる、とても豊かな趣味なのだと実感しています。
